Marvelous Martinez
『私を信じてくれている人のために』-クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合優勝ダニ・マルティネス
もっとも重要な自転車レースの一つであるクリテリウム・デュ・ドーフィネは、フランス南東部の美しい田園地帯で行われる数日間にわたるレース。ツール・ド・フランスの優勝者を占なうこのプロツアーレースは、今年8月中旬に開催され、厳しく激しい5日間のレースが繰り広げられました。さて、誰が優勝したのでしょうか? EF Pro Cycling所属の若いダニエル・フェリッペ・マルティネス(コロンビア)の逆転総合優勝でレースは幕を閉じました。最後まで誰が勝つか分からない激しい戦いでした。それでは、彼がどのように優勝したのかをご覧ください。
『この一週間みんな本当によく頑張った。リゴ、ヒュー、チーム全員、本当に素晴らしかった。』 ‐ダニエル・マルティネス
クリテリウム・デュ・ドーフィネは、常に細かなチーム戦略が大切で、様々な場面で驚くようなハプニングが起こります。日曜日の決勝も例外ではありませんでした。第5ステージと最終ステージを前に、強豪選手が数人脱落。その時、勝利への道が大きく開かれたのです。最終ステージではフレンチアルプスを通る153.5kmに無数の山岳コースがありました。このステージにはコル・デ・ロメとコル・デ・ラ・コロンビエールを含む8つの超級山岳がありました。
最初はコート・ド・ドマンシーの2つの登り坂が待っていました。そこで数人のライダーがグループから飛び出し、先へ進んでいきました。このステージの数少ないフラット区間では、リーダーグループがコル・デ・ロメに近づいたとき、プロトンとはわずか15秒しか間が空いていませんでした。チャンスだと思ったマルティネスとチームメイトのヒュー・カーシーは、グループに追いつき、リーダーグループのライダーは23人になりました。次の登りでは、総合優勝を狙うパヴェル・シヴァコフとジュリアン・アラフィリップが抜き出ましたが、ヒュー・カーシーとダニエル・マルティネスのいる強いグループは、コル・デ・ラ・コロンビエールの下り坂で追いかけ続けました。
マルティネスはコート・ド・ドマンシーの登りで、前方を走っていた選手たちに追いつきました。マルティネスはアスタナ所属のミグエル・アンヘル・ロペスと6秒差でしたが、落ち着いて力強く走り続け、最終的に30秒もの差をつけました。
最後の登りに到達するまで追っていたアスタナだけが、マルティネスの唯一の競争者でした。しかし、ティボー・ピノはゴールまで残り9kmのところで、コロンビア人を必死に追いかけ、30秒の差にまで縮めました。マルティネスは後ろからのアタックに気付き、全力でペダルを踏み、チームメイトから離れました。残り7.3 km、優勝を狙うピノはさらに差を縮め、マルティネスとロペスに近づきました。ピノはついにロペスを追い越し2位となり、残り5.8 kmの時にはマルティネスから22秒しか離れていませんでした。残り1.5 kmでピノはアタックし続け、12秒差まで縮めました。マルティネスはこの攻撃に対し、残り1 kmのところで全力でペダルを踏み続けました。セップ・クス(アメリカ)がこのステージで優勝し、ダニエル・マルティネスは2位でしたが、キャリア初のドーフィネ総合優勝を手に入れたのです。
『間違いなくこのレースは、私の家族と小さな息子のためだった。この勝利は彼らのために。』 『私を信じてくれている人のために。』 - ダニエル・マルティネス
『人生で最も素晴らしい日であり、最も大切なレースの一つ。優勝できて本当に嬉しい。レースの疲れは感じているけど、まだ優勝したことを信じられないよ。地元開催のツアー・コロンビアのステージでも優勝したけど、ドーフィネでも優勝できて本当に最高だ。』 – ダニエル・マルティネス
『言うまでもなく、すごく集中的した一日だった。ログリッチが参加しないと聞いて、優勝できるチャンスがあると思っていたよ。スタートは完璧ではなかったが、チームみんなが全力で頑張ってダニエルの優勝への道を作ったんだ。そこからライバルをよく観察し、残りの体力を管理していた。ダニエルは本当に上手く走ってくれたよ。彼はプレッシャーに負けなかった。チーム全員がレースで全力を出して手にした優勝だから、本当に素晴らしい。』– チャーリー・ウェゲリウス/スポーツディレクター
この勝利でEF Education Firstは、8月29日〜9月20日に開催されるツール・ド・フランスに参加する強豪チームであることを証明しました。選手たちは今回歴史上初めて夏の終わりにマイヨ・ジョーヌ(フランス語で「黄色いジャージ」)を目指します。EFチームにはステージ優勝ができる選手や、パリのポディウムを目指す選手もいます。今年のツール・ド・フランスは伝説となるでしょう。