Mona Goes Two-Up in Les Gets
モナ・ミッタウォルナーがスタートラインに並んだとき、ワールドカップの行方はレース前から決まったものになってしまうかもしれません。たとえ、結果が決まっていたとしてもその走りに興奮するはずです!
レース前から結果は分かっていました。21歳の若者が順調に力をつけてきたからです。
それでもなお、その圧倒的な走りには興奮したと思います。
レース界隈はモナにもっと大きなチャレンジをさせようと、少しだけ試練を与えたようにもみえました。ただ明らかなことは、数週間前に行われたマッドコンディションのアンドラワールドカップでの初勝利や、さらに厳しいコンディションだったスコットランドでのマラソン世界選手権での勝利が物語るように、彼女にとって天候はもはや関係ないのかもしれません。
2日前に行われたショートトラックでは、激しい胃痙攣に悩まされながらも6位でフィニッシュ。しかも、クロスカントリー本番までその痛みが消えることはありませんでした。しかし、今すべきことを理解し、目の前のタスクに集中しようとしていました。
そして、彼女はやってのけたのです。
フレンチアルプスの乾燥した美しい一日が、この日のレースの舞台となった。モナは、事前の戦略通り、冷静さを失うことはありませんでした。淡々とペダルに力を入れ、着実に順位を上げながら集団先頭にバイクを進め、最終的に世界チャンピオンのP・フェラン=プレヴォとオランダのP・ピーテルスを振り切りました。3人のパックは、後続とのタイム差をじわじわと広げていきました。それでも、この時点では誰が勝ってもおかしくないレースでした。
しかし、獲物を狙うライオンのように、モナはじっとその瞬間を待っていました。そして、その瞬間は3周目に訪れたのです。森の中を上りきり、1本のトレイルが2つに分かれる場所。そこで、モナとLAB71 Scalpelが右ラインを選択し、一気に前へと出たのです。2つのラインが合流するころには、すでにモナが先行していました。ピーテルスとフェラン=プレヴォは、同じようなシーンに見覚えがあったかもしれません。そして、見る見るうちに、モナの背中は遠くなっていきました。
フィニッシュラインを切るまでには、この日の最速ラップを刻み、2位のピーテルスとの差は38秒。数週間前のアンドラでの初優勝よりも、さらに33秒を上回るものでした。
予測可能、それでも興奮する。
フィニッシュラインを超えスカルペルを頭上に掲げた彼女を見て、体調不良に気付いた人はどれだけいるでしょうか?
「ショートトラックの後、あまり体調が良くなくて。リカバリーもあまりうまくいかなくて。でも、メンタルは完全にコントロールできていたし、あとは感情を捨てて走り続けるだけだった」
「身体は言うことを聞かなかったけど、精神的にはスッキリしていた。だから、勝つ自信はあった。」