「必要最低限からスタートして、そこにラクランが“できるだけ速く、そして快適に”走るために必要なものだけを加えていきます…」
— トム・ホッパー
Photography by: Karter Machen
これは、新型Synapseが史上最高のテストライドを経験したという、ちょっとした物語。ワールドツアーのDNAを持つエンデュランスバイクにしては、大胆な主張かもしれません。しかし、これはただのライドではありませんでした。それは、ラクラン・モートンが挑んだ「FKT(最速記録)」を打ち破るオーストラリア一周チャレンジという名の、拷問テスト。
14,200kmにもおよぶ壮大なループ。昼夜を問わず、彼の肉体と精神を限界まで追い込む旅。これは単なるエンデュランスではない。もはや狂気とも言える挑戦でした。もちろん、キャノンデールの開発・設計チームはそのチャレンジに飛びつきました。自分たちの新たなバイクがどこまでの可能性を秘めているのかを試したくてたまらなかったのです。そして、ラクランが“その先のそのまた先”へと踏み出す冒険を、心からサポートしたいと感じていました。
トム・ホッパーは、2019年以降、ラクラン・モートンの“オルタナティブ・カレンダー”挑戦を支えてきた右腕的存在。ある日はプロレベルのメカニック、別の日はロジスティクスの頭脳、そして普段は最高の仲間。
今回のチャレンジも、例外ではありませんでした。ホッパーとモートンは、すぐに意見が一致しました。「今回の挑戦には、新開発のSynapseがベストだ」と。キャノンデールのインハウス・デザインラボで生まれたこの新型フレームは、ワールドツアー仕様のエアロ形状のチューブと、長時間(あるいは長期間)のライドに最適な快適性としなやかさを兼ね備えた設計。それはまさに、この過酷な旅路にふさわしい一台でした。
もちろん、ポートマッコーリーのスタート地点でラクラン・モートンが最初にまたがったバイクを見れば、誰もが眉をひそめたくなるのも無理はありません。異常に小さいフレーム。異常に長いシートポスト。そして、どう見ても快適とは言えない異常なエアロポジション。
「小さいフレームは空気抵抗を減らすし、長いシートポストはしなりが増す…この“クレイジー”なセットアップにも、ちゃんと理屈があるんだよ。」— トム・ホッパー
一方で、MTBでもグラベルでもロードでも、モートンのバイクセッティングにおける“お決まりのクセ”がある。それは、サドルをシートポストの限界まで前に出すこと。多くのライダーにとってはあり得ないほど前方に位置しているが、彼にとってはまさに“ジャストフィット”なセッティング。サドルの先端に腰をかけ、何時間もワットを出し続けながら、可能な限りエアロな姿勢を保てる。
「今回の挑戦は、ほぼTT(タイムトライアル)だから、前寄りポジションが理にかなってる。ラッキー(ラクラン)は、普通じゃないセッティングを選ぶことがあるけど、それもすべて、“速さ”のためなんだ。」— トム・ホッパー
こうした事実がさらに証明しているのは、エンデュランスの常識は、今この瞬間も塗り替えられているということ。“効くものが正義”。正解も、不正解も、そこにはない。
Synapseは、まさにそんなライディングのために生まれたバイク。ピュアなロードから、本格的なオールロードまで対応する万能設計。28mmのレース用スリックタイヤでも、42mmの極太タイヤでも。すべてが“ちょうどいい”。
アスファルトが溶けるような猛暑と向かい風にさらされる中、ラクランとチームは、比較的涼しく穏やかな夜間の時間帯に走ることを選ぶ場面がたびたびありました。
1日平均450kmという走行距離をこなすには、昼夜を問わず走り続ける必要があったのです。もちろん、快適なコンディションとは言えません。しかしある意味、それは私たちの新しいSmartSenseシステムを本格的に試すには絶好の状況でした。第2世代となったこのライト/レーダー/認識サポートシステムは、ライダーの自信と安全をさらに高めるよう設計されています。そんなシステムにとって、真夜中のオーストラリア横断ライドは、まさにうってつけのテスト環境。
新型SmartSenseは、前モデルよりもはるかに効率的。しかも、すべての電力はStashPort(ダウンチューブ内蔵ストレージ)にスマートに収められた1つのバッテリーから供給されます。実際、新しいフレームにあまりに美しく統合されているため、メディア関係者やフォーラムのユーザーたちの中には、「ラクランのバイクにはSmartSenseが搭載されていないのでは?」と勘違いする人まで現れました。あまりに自然すぎて、存在にすら気づかれなかったのです。
30日9時間59分。ラクランは、ただ目標としていた記録を破っただけではありません。それを1週間以上も縮めて、文字通り「ぶち壊した」のです。これにより、世界中の他の記録に対しても、「本当に限界ってどこなんだろう?」と再考させられることになりました。
彼の最新の冒険を共に走り抜き、過酷なテストを完璧に乗り越えた新型Synapseは、ロードバイクの可能性そのものを再定義するために設計された一台です。
もちろん、私たちのほとんどが、ラクランのように迷いもなく超ロングライドに出かけるわけではありません。それでも、もし自分自身のFKT(Fastest Known Time)や超長距離チャレンジに挑みたくなったら。Synapseは、その理想的なパートナーになってくれる。
ひとつのことを完璧にこなすだけのバイクじゃない。ロードバイクのあり方そのものを塗り替えるための存在。それが、私たちがこの映像に込めたスピリットです。出演するのは、ラクラン、彼の兄アンガス、トム。そしてもちろん、新型Synapse。
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